はじめに|エッセイを書く前に
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エッセイを書く前に、その起源や背景を掘り下げていきます。日本ではエッセイと似た文学形式として随筆がありますが、随筆とエッセイそれぞれの歴史にはどんな特徴があるのでしょうか。また、エッセイを書く際に気を付ける日記との違いや、エッセイの魅力にも迫ります。
エッセイの歴史や背景
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【日本随筆の歴史】
日本の随筆の起源は、平安時代に清少納言が書いた『枕草子』と言われています。
古くからの日本随筆は、日常生活で体験した事実をもとに、独特の鋭い観察眼で表現しているのが特徴です。【海外エッセイの歴史】
語源はフランス語で「試み」という意味の「essai」と考えられています。西洋でのエッセイの始まりは1580年、著者ミシェル・ド・モンテーニュの『エセー』で、その内容の特徴は人間の内面について深く切り込み思索している点です。 日記とエッセイの違いを意識しよう
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日常生活での経験や事実を書く点で、エッセイは日記と混同されがちです。しかし、両者には明確な違いがあります。では、その違いは何でしょうか?
一番の違いは、他者に読まれることを前提にしているかどうかです。日記は、日常の事実や個人的な感想を述べるにとどまりますが、エッセイは読者を意識し、作者の心の動きや内面まで表現していきます。 エッセイの役割や魅力とは
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エッセイを読むと、普段は見えない人の内面や心の動きを覗くことができます。書き手も、エッセイを書いていくうちに、気付かなかった自分の心情に気付くかもしれません。
同じ出来事が起きても人によって感じ方は様々。自分とは違う作者の感情の動きに驚いたり、共感したり、心を動かす文章に触れられるのがエッセイの醍醐味といえるでしょう。
また、俳句や短歌などのように形式に縛られることなく、日常を気軽に文章にできるのもエッセイの魅力の一つです。
テーマ|書く内容に迷ったら
エッセイのテーマを決めるヒント
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形式に縛られないエッセイといえども、いきなり書き始めるのは禁物。「何について書くか」テーマを決めましょう。
【テーマを探すコツ】
テーマを探すとなると、途端に「何を書けば……」と頭を悩ます人もいるかもしれません。
そんな時は、次の内容を参考にアイディアを出しましょう。- ・最近、感情が揺れ動いた経験
- ・聞いて考えさせられたニュースや人の話
- ・仕事や趣味を通して得た気付き
出来事や経験自体は特別なものである必要はありません。あなたにとっては、取るに足らない日常体験でも、それを通して感じたあなたの心の変化を描けば、世界に一つの特別なエッセイになります。
【エッセイテーマを絞ろう】
日常にテーマの種は無数にありますが、心の動きを丁寧に描くために盛り込み過ぎには注意が必要です。一つのエッセイで多くのテーマを扱うのではなく、絞りこんだテーマのなかで、感情や内面を細部まで表現することに重きを置きましょう。
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作文とエッセイの違いは、著者の考えや思いが明確に書かれ、かつ読者にどう伝わり影響を与えるのかを、想像できるかどうかです。
そこまで踏み込んで執筆するためには、自分が一番興味あり、造詣が深いテーマを選ぶことが大切です。※エッセイテーマについては「共感を集める、しかもベタではないエッセイのテーマ決め|エッセイの書き方講座」もご覧ください。
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構成|エッセイの設計図を作る
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好きなことを好きなように書くのがエッセイですが、ここで重要なのは「人に読まれる」という視点です。
どんな読者が、どんな心境で、どんな時に読むのか。決めたテーマを想定読者に向けてどのように書いていくのかをじっくり考えましょう。
目次は原稿を書く時の道標です。自分自身が文章の全体を把握するためにも目次は大切。テーマや文章の雰囲気に沿った、ユニークな流れにすることを心がけましょう。 構成を考えるコツ
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先に選んだテーマに沿って、どんな内容をどのくらいの分量で書くか整理します。自分の経験をもとに書くエッセイでは思いが強いあまりに、つい書きすぎてしまいますが、構成を考える手順をふめば、それを防ぐ手助けとなるのです。
構成を考えるうえで、
- ・話の筋は通っているか?
- ・テーマ(読者に伝えたいこと)にブレはないか?
- ・日記になっていないか?
をチェックしましょう。
- ・かしこまった感じ、やわらかい感じなど、自分が表現したい雰囲気をイメージしましょう。
- ・文章量も雰囲気にあわせましょう。例えば、硬い内容なら多め、やわらかい内容であれば少なめにするなど、ターゲットになる読者を想定しましょう。
エッセイの「書きはじめ」「終わり方」を意識
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先にも説明したように、日記と違いエッセイには読者が存在します。効果的な書きはじめでストーリーに引き込み、納得できる終わり方で読者を安心して着地させましょう。
書き始めのポイントは、思わず読みたくなる・先が気になる内容にすること。
特別凝ったものにする必要はありませんが、読者が「なになに?」と感じる書き出しを意識するのがおすすめです。これから始まるストーリーへの期待を高める効果があります。終わり方は、総括として内容をまとめる方法が一般的です。
ここで注意したいのが、最後に伝えたい思いを書きすぎてしまうこと。特に、エッセイでは、自分の経験や日常体験を描写するので、熱い気持ちが溢れて長くなりがちです。なかなか着地が決まらず「結局何が言いたいの?」と、読者を置いてきぼりにしかねません。
できるだけ、まとめの前にテーマを盛り込み、最後はあっさり終わるのが理想です。
- ・「はじめに(まえがき)」「おわりに(あとがき)」は読者へのお手紙です。本文よりも、もっとパーソナルな思いをダイレクトに伝えることができます。読んでもらう人の顔を思い浮かべて、書いてみましょう。
本文|魅力的なエッセイにするコツ
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エッセイのテーマ・構成を考えたら、いよいよ本文を書いていきます。
書き方は原則自由。しかしそれだけに、「ありきたり」にならない工夫が必要です。身近にある題材がテーマになることが多いので、他の人とは違う角度からものを見るような、独自の視点や考え方が展開されていると、より面白味が出てきます。日常の中で意外性のある内容も盛り込む工夫をしてみましょう。ここでも、読者を意識することを忘れてはいけません。
魅力的なエッセイを書くには
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魅力的なエッセイと聞いて、どんなものを思い浮かべますか?つまらないエッセイとの違いはどこにあるのでしょうか。読者が読みたくなる魅力的なエッセイの要素を考えてみます。
- 【魅力的なエッセイの要素】
- ・自分が登場する(自分を描く)
- ・分かりやすい内容になっている
- ・情景が思い浮かぶ
- ・読者の心を動かす
- ・小さな工夫がある
出来事や事実を書くだけなら、それはニュースや日記と変わりありません。
魅力的なエッセイでは著者である“自分”が登場します。出来事を通じて何を感じたか?心の変化や思考を深掘りして表現しましょう。引っかかりがなくスラスラ読める、分かりやすい内容であるのも魅力的なエッセイの特徴です。そのためには、読者を想定した表現の工夫が大切です。書き進める途中で時々振り返りながら、読者が置いてきぼりになっていないか確認するように文章を組み立てましょう。
情景が、ありありと思い浮かぶ文章や、読者の心を揺らす内容であるのも魅力的なエッセイ要素の一つです。それに加え、思わずクスっと笑ってしまうような小さなユーモアを取り入れる工夫があると、より魅力的なエッセイになるでしょう。
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- ・エッセイの本文を書く時に、一行目はとても重要です。あまり説明的にせず、印象的で謎が多い書き出しを考えてみましょう。例えば、いきなり会話や唐突な文章から始めてみるのも効果的です。
- ・また、例として食事をテーマにする場合「ある特定の栄養素」に着目してみたり、「味」と「食事」にかかる時間の関係を考察してみたり、著者独自の視点やこだわりにあふれているほど面白味が増すでしょう。
推敲してエッセイを磨きあげる
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エッセイの多くは日常がテーマになります。
特に「食」や「旅行」など、誰にとっても身近なテーマが題材になっている場合、読者にもある程度の知識がある分、内容へのチェックはそれなりに厳しくなります。必ず、情報に誤りはないか確認しましょう。
また、書き終えた後に必ず読み返して同じことを複数回書いていないかも注意が必要です。
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- ・書き終えてから少し時間を置いて読み返すと、冗長な部分、足りない部分が浮き上がってくることがあります。著者目線を一度離れて、読者目線で読み返してみましょう。
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タイトル|思わず読みたくなるエッセイタイトル
思わず読みたくなるタイトルとは
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タイトルは、本と読者の出逢いの入り口ともいえます。読者の興味をひく、ユニークなタイトルをつけましょう。
- 【タイトルアイディアのヒント】
- ・内容の概要となっている
- ・読者への質問・問題提起
- ・あえて常識に矛盾するもの
- ・具体性がある
- ・「つかみ」効果のあるもの
ヒントを利用しても、なかなかアイディアが浮かばない場合は本屋へ行ってエッセイのタイトルを実際に見てみるのがおすすめです。思わず手に取りたくなるタイトルはどんなものか?どんな理由で惹かれたのかを掘り下げてヒントにしましょう。
また、正面からではなく、変化球を利用した言い回しや、気になる一語を用いるのも効果的です。
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- ・疑問形「なぜ~?」、新事実の発見「じつは~」、否定形「~はいらない」など、同じキーワードを用いても、様々な打ち出しが考えられます。どんな表現がより読者に訴求するのか、しっかり検討しましょう。
コツと注意点|エッセイを書く時に気を付けること
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ここまでの解説をもとに魅力的なエッセイを書くコツと注意点を、まとめます。
- 【魅力的なエッセイを書くコツ】
- ・読者を意識する
- ・日常の出来事や感情を深掘りする
- ・有名なエッセイを読んでみる
日記とエッセイには、読者の存在に違いがありました。
エッセイを書く時は必ず、読者の存在を意識しなくてはなりません。ただ事実を描写するのではなく「どんなテーマを伝えたいのか?」を考えてから書き始めましょう。エッセイの魅力は、外から分からない作者の内面や心の動きを知ることができる点です。それらを表現するために、出来事を通して揺れ動く感情や、内面を深掘りして言葉にしていきます。著者にとっても、エッセイを書くなかで自分の気付かなかった感情の発見があるかもしれません。
もし書く筆が止まってしまった時は、書籍化されたエッセイを実際に手に取ってみましょう。どんな点に魅力を感じるか?感情描写で工夫されている点はどこか?エッセイを書くヒントが見つかるはずです。
- 【エッセイを書く注意点】
- ・自慢話や周囲への批判になっていないか
- ・日記になってしまっていないか
- ・無駄な文は多くないか
エッセイでは日常の出来事や感情を描くので、扱い方によっては自慢・批判に捉えられてしまう場合もあります。自分自身に起きた事件や内面を描写しながら、時々は客観的に振り返る意識を忘れないようにしましょう。
エッセイを書くコツでも説明しましたが、いつの間にか日記になってしまわないよう注意が必要です。そのために、内容が経験の羅列に終始していないかをチェックします。経験を書くのではなく、経験で感じた思いや心を描くのです。先にも説明した読者への意識が大切になります。
最後に、完成したエッセイを何度も読み返しましょう。読者に分かりやすい内容や文章になっているか、話の筋は通っているか、書きすぎていないか、の確認が大切です。何度も読み返すことで、表現の足りない箇所や無駄が浮かび上がってきます。
推敲を繰り返して磨いていけば、より輝きを増した作品に仕上がるのです。