歴史は現実に起きたことを歴史家が構成し、文学は作家の想像力のなかで物語として虚構が創作されるという意味で、両社の間にはジャンルとして越えてはならない一線があるとされてきた。しかしアカデミズムのなかで言語論的展開が叫ばれてから、そのような「常識」はもはや通用しなくなっている。歴史は物語性がなければたんなる年表にすぎず(年表だって、史実を取捨選択して構成されているのだから、一定の物語性をもっている)、文学は単なるフィクションとして読まれるだけではなく、そのフィクションが歴史的な現実を作り上げている。家族史の歴史研究が明らかにしているように、「赤ずきんちゃん」の文学的物語は近代家族の現実を作り上げるうえで重要な役割を果たした。『詐欺師XスパイXジェントルマン』はスパイ・サスペンス小説という、いわば娯楽性の強い文学作品を題材にして、近代社会が形成された歴史的経緯を説明しながら、詐欺師とスパイが「どこか似ている」歴史的背景を探り出そうとしている。投資家と博徒や競馬の予想屋も「どこか似ている」。そのわけも考えてみたくなる作品だ。
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詐欺師×スパイ×ジェントルマン:パトリシア・ハイスミスとジョン・ル・カレの作品を読み解く 単行本(ソフトカバー) – 2024/3/26
鱸 一成
(著)
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詐欺師とスパイは、どこか似ている
サスペンスの女王パトリシア・ハイスミスと、スパイ小説の大家ジョン・ル・カレ。
2大巨匠の作品を、キャラクター造形に注目して読み解く本格評論!
ハイスミス作品屈指の人気キャラクター、田舎紳士に成り上がった詐欺師リプリーと、ル・カレの描く『スマイリー三部作』でイギリス紳士の素顔に仮面を着けて諜報機関に尽くすスマイリー。
自分を偽り、他人に成りすます、歪んだ世界の行く末は……?
第一部 トム・リプリー論
第一章 コンマン&ジェントルマン ――アメリカン・デモクラシーに背を向けた男トム・リプリー
第二章 『アメリカの友人』――詐欺師たちのゲーム
第三章 『リプリーをまねた少年』――告白の果て
第二部 ジョージ・スマイリー論
スパイはつらいよ――「スマイリー三部作」を読み解く
第一章『ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ』――熟練スパイの再雇用
第二章 『スクールボーイ閣下』――チーフの職責
第三章 『スマイリーと仲間たち』――最後の仕事
サスペンスの女王パトリシア・ハイスミスと、スパイ小説の大家ジョン・ル・カレ。
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自分を偽り、他人に成りすます、歪んだ世界の行く末は……?
第一部 トム・リプリー論
第一章 コンマン&ジェントルマン ――アメリカン・デモクラシーに背を向けた男トム・リプリー
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第三章 『リプリーをまねた少年』――告白の果て
第二部 ジョージ・スマイリー論
スパイはつらいよ――「スマイリー三部作」を読み解く
第一章『ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ』――熟練スパイの再雇用
第二章 『スクールボーイ閣下』――チーフの職責
第三章 『スマイリーと仲間たち』――最後の仕事
- 本の長さ202ページ
- 言語日本語
- 出版社幻冬舎
- 発売日2024/3/26
- 寸法18.9 x 13 x 1 cm
- ISBN-104344690052
- ISBN-13978-4344690059
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商品の説明
著者について
■鱸 一成(すずき かずなり)
1960年 大阪府生まれ。
1983年 立命館大学文学部卒業。
1986年 明治大学大学院修士課程修了。
1986年 日本生活協同組合連合会入協。2021年退職。
1960年 大阪府生まれ。
1983年 立命館大学文学部卒業。
1986年 明治大学大学院修士課程修了。
1986年 日本生活協同組合連合会入協。2021年退職。
登録情報
- 出版社 : 幻冬舎 (2024/3/26)
- 発売日 : 2024/3/26
- 言語 : 日本語
- 単行本(ソフトカバー) : 202ページ
- ISBN-10 : 4344690052
- ISBN-13 : 978-4344690059
- 寸法 : 18.9 x 13 x 1 cm
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- - 92,306位ノンフィクション (本)
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カスタマーレビュー
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5つのうち4.5つ
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上位レビュー、対象国: 日本
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- 2024年8月3日に日本でレビュー済みAmazonで購入パトリシア・ハイスミスのシリーズ物の主人公リプリーとジョン・ル・カレのシリーズの主人公スマイリーを20世紀が生んだ二大キャラクターとして、捉えた評論。
「ハイスミスの作品中唯一のシリーズ物の主人公トム・リプリーは、ヨーロッパ近代の申し子だ。なぜなら、彼は自身の才能だけをたよりに成り上がった男だから。イギリス発の産業革命、アメリカ合衆国の建国、フランス革命、こういった画期的な出来事が、自由や平等や民主主義といった観念を普遍的な価値にまで高め、人々の成りあがりを一層可能にした。(中略)『なり上がりものの一団』=中産階級は、『他のものを模倣することで個性を失い、あるいは依怙地にそれに執着することで、それを歪めた』と吉田(健一)氏は主張した。個性を失うか、あるいは個性を歪める、これはまさしく本稿の主人公トム・リプリーにあてはまる。『成りすまして成りあがる』、これが彼の選んだ生き方だからだ(中略)一九世紀以降のヨーロッパの歪みは、自由や平等や民主主義といった価値観に基づく諸個人の生き方をも歪めてしまった。したがって、成りあがって紳士となった人たちは仮面をつけて生きることになったというのが吉田(健一)氏の見解だ。リプリーはまさしくその歪みの体現者だ」
「『スマイリー三部作』を、主人公のスマイリーはじめ主要登場人物たちの、雇われの身の悲哀を描いたサラリーマン小説の連作として読み解いていく。『スマイリー三部作』をサラリーマン小説として読むことは、スパイ小説を、従来の作品と比べてよりリアルに描こうとした作者のル・カレの態度と響き合うものになると筆者は考える。(中略)アメリカ政府の統計資料によれば、ホワイト・カラーの特徴は、①物品を生産しないこと、②週給あるいは月給制、③仕事中の身なりがきちんとしていること、である。(中略)ホワイト・カラーもまた中産階級=成りあがりものである。ホワイト・カラーのサラリーマンが成りあがるとは、出世=昇進昇給を意味する。(中略)スマイリーのサラリーマン生活には宮仕えの悲哀がつきまとう」
という見識が、著者の方の二つのキャラクターの基本的な人格である、という事だそうですが、両方とも20世紀の産物で、成り上がり、昇進、個性なしというのがその特徴として共通しているらしいです。
他の国はよく知りませんが、日本では、いい学校に行っていい会社に入ると成功=幸せだった時代みたいで、私もそうなりたかったですが、世間的な成功や幸せとは無縁で、昨日読んだロス・トーマスの未訳を読めて幸せ、という感じですが、それで充足できれば、それはそれでいいかもとも思います(世間的には悲惨に見えても)。
これと直接関係があるかないかは判りませんが、能力、仕事、啓発といった、働く事に関する言葉や思想に疑義を呈する評論が増えた感じに思えますが、二十世紀の失敗で資本主義と共産主義がうまくいかなかったので、新しい社会体制を作るべき、という評論も増えて、リプリーが金目当てで色々悪事を重ねたり、スマイリーが資本主義の究極の仕事として、共産主義を打倒する、という仕事に一生懸命働いていた感じで、正に両方とも二十世紀が生んだ産物として、これからも色々な評論の俎上にあがって、あれこれ言われるかもとも思いました。
二十世紀が生んだ、両極端のヒーロー(?)を比較して二十世紀とは何だったのかを考察した評論。必読。
蛇足ですが、リプリーのシリーズと、スマイリーの三部作はいつか通して読みたいと思っていたのですが、忙しかったり、他に読みたい物があって、読めなかったのですが、読む口実ができたので、個人的に感謝しております。
- 2024年4月12日に日本でレビュー済みAmazonで購入世界中で読み親しまれている人気作家が生み出した二人の主人公、リプリー(詐欺師)とスマイリー(スパイ)。この二人の生き方には読者を惹き付ける魅力がある。
小説の読者は最初傍観者として作品の中に足を踏み入れる。そしてその主人公に感情移入するようになる。この二人の主人公は世界で最もその感情移入を受け入れたキャラクターかも知れない。人は詐欺師になる勇気もなければ、スパイになる能力もない。しかしそんな生き方を擬似体験出来るものだからたまらない。物語の主人公に感情移入しながらやがて私は、主人公が為す騙したり裏切ったりの行為を自分の人生でも僅かではあるがして来たことを認めざるを得なかった。
そんな小さな罪を幾つも重ね、それがバレないようにイイ人の振りをして来た。それは二人の主人公がジェントルマンとして人から見られる動機を持っていたことと重なる。それは心の中にある恥部を隠す反動形成であろうか。ジェントルマンとして生きる動機とは本当の自分を棄て偽りの自分を生きることではないかと考えさせられた。
リプリーの言葉が本書で紹介されている。「もし画家が自分自身の作品よりも贋作のほうを多く描いたとしたら、その画家にとっては贋作が自作よりもずっと自然な、ずっとリアルな、ずっとほんとうのものになるのではなかろうか?」
私たちは誰か成功者のロールモデルを生きることで幸せになろうとしてはいまいか。それは偽の自分を生きることではないか。この評論を読みながら私は、二人の主人公の生き方に自分の人生を顧みる刺激を受けた。
世間に対してはジェントルマンを演じ、内面で詐欺師やスパイのように姑息に隠し事をして生きる。果たしてそのどちらに幸せはあるのか。幸せは安定の中(ジェントルマン)にはなく、ハラハラドキドキ(詐欺師やスパイの生き方)にあるような気がする。
欧米人の作家への評論を文化の違う日本人の評論家が見事に行ったのは痛快である。また英文の和訳への難しさをも本書は提示している。本書で紹介されている「some」の和訳、「some event」の翻訳には感慨深いものがあった。私は以前アメリカ人の友人が私を彼の友人(アメリカ人)に紹介するという場面で、友人は私のことを「He speaks some English」と言った。この「some」が長年引っ掛かっていた。本書ではこの「some event」をちっぽけな出来事と紹介している。
あの時アメリカ人の友人は私の英語力をあまり評価していなかったことがハッキリと分かった。まあ、普通の人間は背伸びをしてもひとかどの人間からは見透かされるのである。
本書は評論としても読み応えがあり、生きるとは何かを問う指南書としても価値があると感じさせられた。
是非お薦めしたい一冊である。