医師出身の作家山亀春久の第3作で、唐の末期に宰相職についた李徳裕を主人公とする歴史小説である。李徳裕は前2作『長安近きか日近きか』円仁編・円珍編にも登場する人物で、本作であらためて主人公としてクローズアップされた。
道教を崇拝した第18代皇帝武宗は、会昌5年(西暦845年)から佛教など他宗教の弾圧「会昌の廃仏」をおこない、僧尼の還俗、寺院の廃絶、仏像仏具の廃棄を進めて中国仏教を衰退させた。時の宰相李徳裕も廃仏に加担したとされるが、李徳裕の立場は武宗とは異なっていた。李徳裕は、仏教が国家統合に有益な宗教であることを認識していたが、寺院や出家が課税逃れの手段に乱用される状況を是正し、財政の立て直し図るために寺院や僧尼の規制政策を支持したのであった。
名門貴族出身の李徳裕は、科挙試験を受けずに任官し、安禄山の反乱で弱体化した中央政権の再強化を目指した。地方組織藩鎮を支配する勢力の反中央態度に対して融和政策を主張する科挙出身官僚派(牛党)と対抗して、李徳裕は武力制圧政策を主張し、両派は「牛李の党争」と呼ばれる政争を繰り広げた。この政争に正規軍を掌握する宦官派が絡み、李徳裕は中央復帰と左遷を繰り返し、ついには最果ての海南島に流されて生涯を終える。
李徳裕の63年の波乱に満ちた一生を、唐代の伝奇小説集「宣室志」に残された「一万匹の羊を食べ尽くした時が運命の終わり」という記述を手掛かりに、ドラマティックな歴史小説に仕上げた作者の手腕は見事である。
中国の現代にいたるまでの権力闘争のダイナミズムの歴史的ルーツを示唆する小説として読むのも興味深い。
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羊を食べ尽くした男 中国仏教衰微の日 単行本(ソフトカバー) – 2022/11/29
山亀 春久
(著)
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皇帝武宗の宰相に上り詰めた人物はなぜ破滅に追いやられたのか
唐代中国史に刻まれた大事件「会昌の廃仏」。
その首謀者とされたのは、王朝の存続に貢献した李徳裕という男だった――。
信念を貫き懸命に戦った彼の栄光と凋落に迫る歴史巨編。
「其方の中には一万匹の羊がおる。それは、其方が生涯で食べる羊達だ」
野心に溢れ、左遷と栄転を繰り返す官吏・李徳裕。
節目節目に現れる謎の占い婆から意味ありげな忠告を受けるも意に介さず、
まるで羊を屠っては喰らう狼のように、 栄光を求めて進んでいき――。
【目次】
一、羊の群
二、牛李の党争
三、宦官の排斥
四、宮廷の嵐
五、武宗の誕生
六、会昌の廃仏
唐代中国史に刻まれた大事件「会昌の廃仏」。
その首謀者とされたのは、王朝の存続に貢献した李徳裕という男だった――。
信念を貫き懸命に戦った彼の栄光と凋落に迫る歴史巨編。
「其方の中には一万匹の羊がおる。それは、其方が生涯で食べる羊達だ」
野心に溢れ、左遷と栄転を繰り返す官吏・李徳裕。
節目節目に現れる謎の占い婆から意味ありげな忠告を受けるも意に介さず、
まるで羊を屠っては喰らう狼のように、 栄光を求めて進んでいき――。
【目次】
一、羊の群
二、牛李の党争
三、宦官の排斥
四、宮廷の嵐
五、武宗の誕生
六、会昌の廃仏
- 本の長さ238ページ
- 言語日本語
- 出版社幻冬舎
- 発売日2022/11/29
- 寸法18.9 x 13 x 1.6 cm
- ISBN-10434494285X
- ISBN-13978-4344942851
商品の説明
著者について
■山亀 春久/ヤマキ ハルヒサ
長野県 歯科医師(口腔外科)1948 年生
著書、長安近きか日近きか・円仁編(文芸社)
長安近きか日近きか・円珍編(文芸社)
(本名:山﨑 正)
長野県 歯科医師(口腔外科)1948 年生
著書、長安近きか日近きか・円仁編(文芸社)
長安近きか日近きか・円珍編(文芸社)
(本名:山﨑 正)
登録情報
- 出版社 : 幻冬舎 (2022/11/29)
- 発売日 : 2022/11/29
- 言語 : 日本語
- 単行本(ソフトカバー) : 238ページ
- ISBN-10 : 434494285X
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2グローバルレーティング
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上位レビュー、対象国: 日本
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- 2022年12月8日に日本でレビュー済み「羊を一万匹、食べ尽くす、、、」の暗示に興味をそそられ、二日で読み切った。手に柔らかく収まりの良い版形の本で、ストレスなく読み進むことが出来た。短期間に皇帝が何人も替わり、その度に体制も任地も代わる、混沌とした時代。苦汁を飲みつつも、信念を貫いた男の生き様に触れることが出来た。惹き込まれる情景描写が見事な、楽しめる歴史小説だった。
「あらすじ」と「あとがき」に見える、学者らしい著者の丁寧な筆致が、読み終えてなお、なんとも心地良い。