この当時は話し言葉の「ばび語」会話が女子の間で流行った。最初聞いたときはびっくりした。言葉一音の間に「あ行はば、い行はび、う行はぶ、え行はべ、お行はぼ、んの後はぶ」を入れる簡単な会話なのであるが取り組むとなかなかできない。例えば「こんにちは」は「こぼんぶにびちびはば」ということになる。「ごはん」は「ごぼはばんぶ」、「ラーメン」は「らあめん」と置き換えて「らばあばめべんぶ」小さい「っ」(促音)は何もつけない。「バッター」なら「ばばったばあば」となる。小さい「ゃゅょ」(拗音)は母音を意識して入れる。「チャンス」は「ちゃばんぶすぶ」となる。
女の子たちはこの会話で日常を過ごしているのだ。また速さを競うものだから、何を言っているか全くわからない。このような会話は誰が持ちこんだものか、何処から広がったのか良く知らないが、その内「ばびぶべぼ」に対抗すべくそれ以外の置き換え会話もひろまり、大変な状況となったのである。勉強のできない女子が凄く流暢に話していたのには驚かされた。「こんなことを必死になるならもっと通常の勉強をすれば」と思ったが彼女らには勉強とは違う別ものということらしい。しかしこのブームも長続きはせず、いつの間にか下火となっていった。しかし、いろいろと考えるものだと感心するしかなかった。
私の良き時代・昭和! 【全31回】 | 公開日 |
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(その1)はじめに── 特別連載『私の良き時代・昭和!』 | 2019年6月28日 |
(その2)人生の始まり──~不死身の幼児期~大阪の襤褸(ぼろ)長屋へ | 2019年7月17日 |
(その3)死への恐怖 | 2019年8月2日 |
(その4)長屋の生活 | 2019年9月6日 |
(その5)私の両親 | 2019年10月4日 |
(その6)昭和三〇年代・幼稚園時代 | 2019年11月1日 |
(その7)小学校時代 | 2019年12月6日 |
(その8)兄との思い出 | 2020年1月10日 |
(その9)小学校高学年 | 2020年2月7日 |
(その10)東京オリンピックと高校野球 | 2020年3月6日 |
(その11)苦慮した夏休みの課題 | 2020年4月3日 |
(その12)六年生への憧れと児童会 | 2020年5月1日 |
(その13)親戚との新年会と従兄弟の死 | 2020年5月29日 |
(その14)少年時代の淡い憧れ | 2020年6月30日 |
(その15)父が父兄参観に出席 | 2020年7月31日 |
(その16)スポーツ大会と学芸会 | 2020年8月31日 |
(その17)現地を訪れ思い出に浸る | 2020年9月30日 |
(その18)父の会社が倒産、広島県福山市へ | 2020年10月30日 |
(その19)父の愛情と兄の友達 | 2020年11月30日 |
(その20)名古屋の中学校へ転校 | 2020年12月28日 |
(その21)大阪へ引っ越し | 2021年1月29日 |
(その22)新しい中学での学校生活 | 2021年2月26日 |
(その23)流行った「ばび語会話」 | 2021年3月31日 |
(その24)万国博覧会 | 2021年4月30日 |
(その25)新校舎での生活 | 2021年5月28日 |
(その26)日本列島改造論と高校進学 | 2021年6月30日 |
(その27)高校生活、体育祭、体育の補講等 | 2021年7月30日 |
(その28)社会見学や文化祭など | 2021年8月31日 |
(その29)昭和四〇年代の世相 | 2021年9月30日 |
(その30)日本の文化について | 2021年10月29日 |
(その31)おわりに | 2021年11月30日 |