作品紹介
吊るされた永遠
白鳥葉
どれだけ泣いてもいつか笑うことができるはず
踠きながら、行方不明の心を探す13poems
どうしても手に入れたいから
偽りだとしても
信じるのか
それなら私は
木に吊された永遠でいい
「永遠」より
憂鬱
白鳥葉
貴方のいない"白い憂鬱"な日々。愛と喪失を綴った15篇の詩
"彼を愛して 私は私になった"
「塔」「生きて」「白い憂鬱」「林」「貴方 ~星になって~」「棺」「森の魔物」
「別れ」「鉄線」「憎しみ」「炎」「花びらと棘」「姫百合」「憂鬱を越えて」「虹」
やさしくて切ない15篇の詩があなたの心に染みわたる。
なぜ人は、こんなにも傷を負い、ボロボロになっても、
人を愛し続けるのか……?
愛する人を失っても、愛は消えない。行き場を失った消えない愛を綴った、『吊るされた永遠』に続く待望の2作目。
プロフィール
白鳥葉
1979年生まれ。東京都在住。
書籍に込めた想い
「憂鬱」はまだ分かりやすいかと思いますが、「吊された永遠」って何だろう、と考えた方は多いかもしれません。その表現が意味するものは、解説してしまうと面白くないので、自由に想像していただければよいかと思います。ちなみにその表現は、サミュエル・ベケットの戯曲『ゴドーを待ちながら』の日本語訳を読んでいる時に閃きました。
2冊の詩集は共に、自我との出会いや失った人への愛を表現しています。しかしそれだけでなく、2冊には、自分の病気の苦しみや友人・尊敬する人への愛、平和や自然への愛など、私が人生の中で経験したあらゆることが、拙いながらも凝縮されています。ある時、社会に生きる中で、そのような思いは個人的な話ではなく、誰もが持つ思いなのではないかと気づいたのです。読んで下さる方に、2冊のどこか一部でも共感していただけたら嬉しいです。
インタビュー
『憂鬱』『吊るされた永遠』が刊行されました。今のお気持ちはいかがでしょうか。
私にとってこの2冊の詩集を生み出すことは、絶対に果たさなければならない使命のようなものでした。それを終えたわけですから、正直安堵しています。まだ書き足りない部分もあるのですが、とりあえずは良かったなと思いますし、出版社を始め皆様には感謝しています。
今回出版しようと思ったきっかけはなんだったのでしょうか?
詩はずっと書き溜めていました。出版の直接のきっかけは、2011年3月の東日本大震災でした。震災で愛する人を失ったり、自身が健康を損なったりして、苦しんでいる方が沢山いらっしゃる。本当に微力ですが、私が詩を書いて、お役に立てることがもしあれば、と考えました。そして2012年に『吊された永遠』が、5年後に『憂鬱』が生まれました。
どんな方に読んでほしいですか?
やはり、生きることに苦しんでいる方に読んでいただき、何か少しでも癒やされて下さったら嬉しいです。生きることに苦しむということは、恐らくどんな方にもあるのではないでしょうか。そういう意味では、すべての方に私の詩集を読んでいただけたら、と思います。
人生を変えた出会い
私の詩集には、私が愛する「彼(貴方)」がたびたび登場しますが、そのモデルになった男性こそが、私の人生を変えてくれました。彼についてあまり多くのことは語りたくないのですが(笑)、彼は私を含む周囲の人々に惜しみなく愛を注ぎ、ひとことで言えば、愛することの強さ、深さを教えてくれたと思います。私には、冷淡で自分のことばかり考えているところがあり、彼の愛はそれを揺るがすものでした。私も少しは人々を愛することを教えられ、「私は私になった」のです。彼は若くして亡くなりましたが、今でも私の人生に大きな影響を及ぼし続けています。それはこれからも続いていくはずです。
未来へのメッセージ
私の場合は、精一杯日々を生きることが、詩を書くことに繋がっています。日々生きる時、まず詩のことは考えないですね。楽しんで笑ったり苦しんで泣いたりして、それが峠を越した頃に、「ああ、詩にしてみよう!」と詩のことを想い出して、書くという感じです。私にとって、詩は人生の報酬なのです。人生を表現するスタイルは人それぞれだと思いますが、未来へと生きていく皆様が精一杯生きて損はないと考えます。
そして皆様や私が生きていく未来には、沢山の「人生の表現」が生まれるでしょう。それらが何らかの形でお互いに影響し合うことを、私は期待しています。