表現者の肖像 佐倉海桜
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執筆に秘めた思い

「いただきます」「ごちそうさま」
 これらは、日本の食事の前後に交わされる挨拶でございます。一食一食に感謝を込めた言葉です。
 誰かが誰かのために料理を作るとき、自らが自分のために料理を作るとき、人は食材を用意し誰かの笑顔を思い、あれこれ考えを巡らせ調理いたします。
 手間のかかる料理もあれば、時間がなくて時短メニューになるかもしれません。特別な記念日のメニューもあれば、お酒のつまみに合うメニューかもしれません。どのメニューにも作り手の想いと目に見えない愛情がギュッと込められています。心のこもった料理を食べるとなぜか身も心もホッと一息、あたたかくなるような気がいたします。
 日本は、四季折々に合わせてメニューも色々ございます。たとえば、春の七草粥、夏には涼を感じる流しそうめん、秋には実りを楽しむ栗の炊き込みご飯、冬には年越しそばなどなど。春夏秋冬の風情に合った色とりどりのメニューが食卓を彩ります。
 正岡子規さんは、生涯で二万五千有余の俳句を作りました。子規さんの俳句は、150年経った現在でも色褪せることがございません。当時の日本の生活や風情が感じられノスタルジアを覚えます。

 

「一食一句」のメニューに俳句という風情を合わせ、新しいタイプのレシピ本となりました。日々の食卓に一句一輪の話の花が咲きますように。「いただきます」と「ごちそうさま」の間に快い想い出が出来ますように。幸甚の極みでございます。

幻冬舎ルネッサンス

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