【大賞発表】再チャレンジコンテスト

編集部コメント

創業から35年、中華料理店で腕をふるってきた父親。その父親から発表された5年後の引退。物語序盤では、「この味を引き継ぐことがオレにできるのか」と、店を受け継ぐべきか悩む息子の心情が綴られている。最初は不安もあったが、母親の一言が転機となり、はじめて厨房に足を踏み入れることに。多くは語らない父親だったが、その仕事ぶりと情熱に触れ、新たな一歩を踏み出す覚悟を決める。

常連客の助けや応援により料理人として成長していく息子。何気ない会話や掛け合いがあたたかい気持ちにさせる。ある場面では、近しい人の死により、自分の人生を見つめ直し、方向性を変えていく姿が描かれており、読者の心に響くだろう。終盤ではある日突然、父親が失踪する。予測不能な展開もおもしろい。

物語はテンポが良く、つい読み進めたくなる構成力と筆力の高さを感じる。また、登場人物たちをうまく使い、読者に感情移入させることにより、読み手を物語に惹き込むことに成功している作品である。

編集部コメント

再チャレンジコンテストでは小説部門とエッセイ・自分史部門に分けて作品を募集いたしました。作品を拝読し、編集部一同悩みながら審査をいたしましたが、残念ながらエッセイ・自分史部門の大賞は該当なしという結果になりました。幻冬舎ルネッサンスでは、著者様にしか書けない作品を求めています。今後も渾身の作品をお待ちしております。