著者インタビュー

この本は母が懸命に生きた証です。

うねりゆく時代の中で、私を見守り、励ましてくれたのは、大阪の街だった。

 

私は平和な時代を知らずに生まれ育った。子どもからおとなへ、そして母へ。
社会と共に大きく変わりゆく日々の生活と心の機微を、家族のあり方を交えて描いている。心にしみる風景や大阪住吉の神社・史跡の来歴にも思いを馳せる。穏やかな語り口が、なぜか懐かしく感じられる一冊。

―刊行された今のお気持ちはいかがでしょうか。

母が書いた原稿を一冊の本として残せたことに安堵しています。

原稿から教科書でしか見たことのない時代が現実のものとして、鮮やかに甦ってきました。どんなに辛い状況でも、そこには日常生活がある。それは今、世界中で戦場となっているどの国でも起こっていることであり、日本も再び同じ危機に見舞われないとも限りません。その危機を経て、どのように新しい時代を迎え、力強く生きたのか……。激動の時代に成長した、ひとりの少女の物語を、若い人たちにも読んでいただけますと幸いです。
また、日本の美しい自然や、身近なところにある歴史遺産など、普段は気にかけない場所にも足を運ぶきっかけになればと思います。

娘として、文章の構成や表現、本の装丁、イラストに至るまで、細部にこだわりましたが、編集者が共に考え、とことん付き合ってくれたことに深く感謝しています。

―今回、出版をしようと思ったきっかけを教えてください。

引っ越しの際、母の原稿が入った段ボールを開いて茫然としました。以前、「活字に起こしてね」と言われていたので、パソコンで打とうと思ったのですが、とても打てそうな量ではなく……。
原稿を読んでみると、場面が目に浮かぶ、味わい深い文章でした。いずれ、このまま遺品として処分されてしまうことを考えると忍び難く、やはりプロの出版社に任せるべきだと思いました。インターネットで探した時に幻冬舎ルネッサンスを見つけ、これまでの制作実績から、きっと丁寧な本づくりをしてもらえるだろうと依頼をしました。

―制作をはじめる前にどのような不安がありましたか?

個人的に自費出版のイメージがあまり良いものではなく、ネガティブな話も耳に入りましたので、原稿を読み、装丁などを一緒に考えてくれるのだろうか、挿し絵を入れたいが了解してもらえるのだろうか……などの不安がありました。

―不安をどのように乗り越えましたか?

「どのような本にしたいのか」という、出版のコンセプトや表現のニュアンスなどについて編集者に相談すると、迅速に対応していただきました。挿し絵も提案してくれ、作品の内容にぴったり合う、あたたかみのある絵柄を入れることができました。また、文章表現、使用する漢字についても、編集者と議論を重ね、最適なものになっていったと思います。このような迅速で丁寧な対応により不安は解消され、乗り越えることができました。

―完成した本をどんな方に読んでほしいですか?

まずは母です。93歳の誕生日祝いとしてこの本をプレゼントしようと出版を決めました。書店に自分の本が並んでいるのを見たら、きっと喜んでくれるだろうと思い、出版のことはサプライズにして進めていました。誕生日当日、母を書店に連れて行ったところ「同じ名前の人がいるのねぇ」と気が付いていませんでしたが、自分の本だと知り、最高の誕生日プレゼントだと泣いて喜んでくれました。

もうひとりは、母の弟、私の叔父です。大人の事情で、母とはわだかまりがあり、打ち解けないところがあったのですが、子どもの頃は仲良く、共に戦争中の苦しい体験をしてきた間柄です。その時のことが鮮やかに描かれていて、母の弟への胸の内も知り、叔父は涙声で「こんなうれしいことはない。これは、叔父さんの宝だ」と電話をかけてきてくれました。母とも電話で積もる話をして、打ち解け合えたと聞き、心から本にして良かったと思いました。
他にも関わりのある方々に本をお手紙と共に差し上げたところ、疎遠になっていた母の古い友人から、お電話やお手紙をいただき、再び連絡を取り合うことができました。

―書籍に込めた思いを教えてください。

これは、母の93年間の歴史であり、生きた証です。
また、遊び道具はなくても、子どもたちが遊びを考え、みんなが集まって遊ぶ中にルールや発想が生まれた昭和初期。戦争を経て時代が移り変わり、生き生きと自由な空気が、力強く新しい日本を築いていった様子を次の世代に伝えたいと思っています。
また、平和は守らなければ、簡単に壊れてしまいます。安心して生きることのできる社会を手離してはならないということにも気付くきっかけになれば幸いです。

―これから出版を考えている人へのメッセージをお願いします。

なぜ本にするのか、どの年代の人に何を問いかけたいのかということまずは考えてみてください。
また、作者にとって作品を手に取り、共感してもらえることは何よりの喜びです。多様な視点から多くの人に作品を受け止めてもらえることが、出版する大きな意義だと考えています。そして、作品が自分の手から離れ、どのように歩きだすのか……わくわくしますね!
ぜひ、出版へ一歩踏み出してみてください!


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