読んでもらいたい反面、世に出せるレベルなのかという不安がありました。
もう一つの現実世界
気がつくと狢(むじな)は薄闇の中を歩いていた。辿り着いたのは愛の部屋「カトマンザ」。そこは部屋といえども屋上や森を有する日常とは異なる仕組みを持った不可思議な空間だった――。
これは記憶の奥に隠された愛を探す、再生の物語。
少年は後ろめたさを抱えてたぬきになった。亜美は母の命と引き換えに生まれた自分に罪悪感を持っている。火事の恐怖で脳の成長を止めたままのラッキー、2歳まで盲目だった憂いの少女カナデ、育ててくれた伯母を最後まで母と呼べなかった汰央。 心に苦悩を抱える子どもたちは、カトマンザの親密な闇の中で自分の本心と向き合い自信を取り戻していく。そして明かされる、カトマンザの存在理由とは。
ずっと目指してきた山の頂上にいる気分です。多くの方に作品を読んでいただくことで自分の書いたものにどのような反応が得られるのかを、少しドキドキしながら楽しみに待っています。そして、次の作品を考えています。
―出版のきっかけを教えてください。長い間、自分の頭の中でぐるぐるぐるぐる回っていたものがあり、それを形にしてみたいという気持ちが最高潮に達したという感じでしょうか。ちょうど宇宙で星が一つ生まれるように。モータルは細かいチリのようなものがギューッと集まってできた物語です。
―制作を始める前に不安はありましたか?多くの人に読んでもらいたいと思う反面、自分の小説が世に出せるレベルのものであるのか……という不安がありました。
―制作の過程で不安を解消できましたか?先ほど申し上げましたように、小説を書くことは山登りに似ています。誰の目にも触れず作品を書いている時は、標高の高い険しい山に一人で登っているという感じで少なからず不安がありました。出版を決めたことで出版社という最強のシェルパを得た気分でした。もちろん、登るのは自分の足なのですが、編集者がたくさんの重い荷を引き受け、背中を押してくれたことに感謝しています。
―制作中によかったと思えたのはどんなことですか?自分の書いた小説を親しい友人に読んでもらいたいと思っても、原稿の形では気がひけてしまいます。ですが書籍という形になれば、すんなりと読んでもらうことができます。高齢の父に読んでもらえることが楽しみで、日々待ち遠しい気持ちでした。
―制作を進めるなかで印象的だったことを教えてください。印象的だったのは、最初に作品講評が届いた時です。そして校了と校閲で自分の書いた作品が磨かれていくのを毎回嬉しく受け止めました。表紙デザインはこちらの希望を全面的に取り入れてくれ、大変納得のいくものに仕上がりました。
―完成した本をどんな方に読んでほしいですか?原稿の状態から応援してくれた娘や妹、親しい友人、恩師、高齢の父に読んで欲しいと思っています。しかし、実は何より子育て中の保護者に読んでいただきたいです。また、本が好きな方はもちろんのこと、あまり本を読まないという方にも手に取っていただけましたら幸いです。
―書籍に込めた思いを教えてください。昨今の間断なく社会面に載る痛ましい事件が減少し、社会が平和になるようにと願いを込めて執筆しました。本書は小さな子どもには難しいかもしれませんが、登場するキャラクターはユニークで、物語の舞台となるカトマンザはとても居心地のよい不可思議な空間です。だからこそ、大人の方が読んで子どもたちに内容をわかりやすく話してあげてほしいのです。物語を聞かせ、親子、家族でストーリーを共有する。そんな新しいスタイルのコミュニケーションの形があってもいいのかなと思います。
―読者へのメッセージをお願いいたします。人間の一番の敵は自分自身だと言います。私たちは善と悪の両面を持っているからこそ迷い悩みます。そんな時、誰かに対してではなく自分に恥ずかしくないように生きることが何より大切だと思うのです。それは強さです。強さは優しさです。優しさは幼い頃に親から受けた愛によって育まれます。そしてそれは人間愛へと繋がっていきます。よい親子関係が心に愛を宿すのです。人の運命は様々で、生まれ落ちた瞬間から多様な状況が待ち受けているでしょう。どんな状況にあっても愛を信じたい、最強の愛を心に宿して。モータルはそんな気持ちで書いた作品です。
―これから出版を考えている人へのメッセージをお願いします。形にしたいものがあったら出版社というプロ集団のスキルを借りて、温めてきた作品を世に出してみるのはいかがでしょうか? 本の制作工程から多くのことを学ぶことができますし、それはあなたの最高の経験となり何よりの宝となることでしょう。
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