著者インタビュー

出版することで約束を果たすことができました。

争いが終わった先にある、明るい未来を信じて

 

内戦が泥沼化していくミャンマー。
雑誌記者として訪れた日本人・國分は、国の未来を担う若者が、終わらない戦いに身を投じている現状を目にする。
一人の“外国人”としてできることは何か考えさせられる、ノンフィクション小説。

―刊行された今のお気持ちはいかがでしょうか。

「これで自分の分身が独り歩きを始めた」そんな気持ちでした。
事実をベースにしたノンフィクション小説であることからか、刊行後に小説の登場人物のモデルになった人々との関係性は発展し、新たな繋がりも生まれていきました。今は、自身が一歩行動した先に見える景色を楽しませていただいております。

―出版のきっかけを教えてください。

一般的に理解され難いミャンマーの問題について、どうしたら注意喚起ができるかと考えていた時、ある記者から「新聞は17字で表現しなければならないのです」と言われました。ところが本は約8万字も表現できると知り、執筆に挑戦することにしました。

―制作中に不安だったことはありますか?

制作前に素直に不安な部分を伝えたところ、誠意ある返答があったことに安心感を得ることができました。また、制作に入ってからは、自身の技量に不安もありましたが、編集者のサポートもあり、不安は解消されていきました。

―制作中に大変だったことはありますか?

作品に対する思い入れが強すぎて、8万字の書籍にする予定が草稿で16万字を超えてしまいました。自分にとっては、これを半分に削る作業が大変だったと思います。それはまるで太り過ぎた自分を減量させる作業に似ていたのかもしれません。どちらも半分にするというのは大変なことだと思いました。

―制作中によかったと思えたのはどんなことですか?

実は、小説の執筆が性に合っていたと気が付きました。本格的な小説を書くのは初めての経験でしたので、そんな気持ちになれるということも、やってみなければわるはずもなく。それが制作中に一番良かったことだったのかもしれません。

―制作を進めるなかで印象的だったことを教えてください。

一番印象的だったことは、表紙などを含めた装丁デザインです。編集者を信頼して一任できました。もし自身がデザインをしていたら、おそらく書店で手にしてもらえるようなものにはならなかったに違いありません。実際、友人や知り合い、さらには面識の無い地方の書店員からもデザインは絶賛されました。

表紙デザイン

―書籍に込めた思いを教えてください。

この小説がこれまで日本人の関心が薄かったミャンマー問題について、小さな一石を投じる結果となり、その波紋がたとえ少しずつでも広がってほしいと心から願っています。

小説に登場するミャンマーの若者たちは、今も実際にミャンマー国軍と闘っています。現地で彼らから切望されたことは、このミャンマーで起きている悲劇を世界に伝えてほしいということでした。そして私は彼らに対して日本に帰って小説にすると約束しました。今回、その約束を果たすことができ、関係者の皆様に感謝しています。

―読者へのメッセージをお願いいたします。

最近は、戦争が過去の話ではなく、現在も止めることの難しい現実問題であることが語られるようになりました。かつて日本とも深い関係のあったアジアのミャンマーでは、今は日本語を学びながら、心の底から日本に救いを求めている若者たちがいます。この小説には、そんなミャンマーの若者たちの心の声をそのまま書き留めて紹介しています。 ぜひ、一人でも多くの方にこの小説を手に取って彼らの声を聞いてほしいと願っています。

―これから出版を考えている人へのメッセージをお願いします。

今は、SNSを通して誰もが手軽に発信できる時代だと思います。そんな時代ですが、「伝えたいことがあるなら、あえて小説を選んでみる」そんな選択があってもいいのではと思います。
そして、自身で書くことはできても、それが全国の書店に配本されるということは、多くの人の手による信用と作業の積み重ねを経てはじめて実現される、まったく次元の違うことです。数ある自費出版社の中で幻冬舎ルネッサンスはその点で抜きん出た存在ではないかと思います。人生における価値ある選択肢の一つではないでしょうか。


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