この本は大切な思い出を閉じ込めた宝物です。
人生いろいろあるけれど、出られる今を楽しもう
漁港でその地のお魚を買って初めての味わいを楽しんだり、
谷あいの道で目の覚めるような紅葉に出会ったり。
行きたいところへ行ける自由な時を大切に、旅は続く。
2021年4月に『夫と歩いた日本すみずみ』を刊行。今回は、前作からのシリーズ本でもある。
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『夫と歩いた日本すみずみ』
子どもの頃、作家になる夢を抱いたことが無いこともなかったのですが……まさか今になって自分の本が刊行されるとは思いもしませんでした。夢を見ているようです。
元の文章は、パソコン講座の師匠が発信していたメールマガジンの中で連載されたものですので、時間が経てば消えていくものだと考えていました。
2019年に夫が亡くなり、その後コロナ禍で家にいる時間が増えました。以前は毎週出かけては出先のことをメールマガジンの記事として書き送っていたものがおよそ380編もあることに気が付きました。メールの履歴やプリントアウトした記事を集め、「さて……」と思っていたところ、偶然目にした幻冬舎ルネッサンスに送ってみました。自分の書いた内容が本になるものなのか、正直言って自信がありませんでした。
―制作中に大変だったことはありますか?あまり大変だと思ったことはありませんでした。あえて挙げるとすれば……事実を確認すること、いわゆる「裏を取る」ことですかね。当時得た情報が本当か、現地に連絡を取り、ひとつひとつ確かめました。例えば、高知の坂本龍馬記念館で、おりょうさんが晩年撮影したと思われる写真が本物かということや、愛媛の内子町のお土産が「大江健三郎ゆかりの」とされているので、どんな「ゆかり」かなど。大変というよりも、興味深いことが多く、楽しい経験になりました。
―制作中によかったと思えたのはどんなことですか?読み手に伝わりやすい表現方法を提案してもらったことです。自分なりの文章で表現していた部分を見直す際、「ここはこういう風に修正をした方が良い」と具体的なアドバイスを受け、反省することが何度かありました。読者に対して情報が正確に伝わること、文章が読みやすくなることの大切さを学びました。
―制作を進めるなかで印象的だったことを教えてください。校正はあると思っていましたが、「初校」「再校」「念校」と三度も見直す必要があることを初めて知り、出版に対する責任の重さを再認識しました。校正のたびに、早朝時間を作り、赤ペンを持ってゲラを見なおす作業は、作家の方々は皆さんおこなっていることを、今更ながらに実感し、尊敬の念を深めました。
※ゲラ(ゲラ刷り)・・・校正(誤字脱字のチェックなど)を行うための「校正刷り」のこと。Wordなどで書かれた原稿をイラストやデザイン、ページ番号等が入っている本番のレイアウトに流し込んだもの。
―書籍に込めた思いを教えてください。夫が亡くなり、私も気が付けば70代になっていました。この文章を書いていたころの元気はありませんが、この本を読むことで当時のあの場所に思いを馳せることができます。大切な思い出を閉じ込めた宝物となっています。
―完成した本をどんな方に読んでほしいですか?ご病気であちこち行くことができない方、また、定年を迎えこれからご夫婦であちこち行ってみたいという方に読んでいただきたいです。私個人の感情はできるだけ抑え、見たまま、体験したままを書いたつもりですので、「ここはこんな所か!」と一緒に旅をしている気持ちで楽しんでいただけたら嬉しいです。
―これから出版を考えている人へのメッセージをお願いします。これから原稿を執筆するのは大変かもしれませんが、もしかしたら過去に書き溜めたものの中にお宝が眠っているかもしれません……私の場合はそうでしたから。「磨けば光る玉」が掌中にあるかもと振り返ってみるのも良いかと思います。ご検討を、いやご健闘をお祈りします。
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