「病気の予防は簡単であることを知ってほしい」それが出版の動機です。
西洋医学とは異なる、場の医学(日本医学)という見地から「臓器の病気も心身全体の病気」としてとらえて様々な病気の原因を解明する著者の待望の新刊。
長期的ストレスと血液の滞り、炎症、病気との関係をわかりやすく図解し、今、注目を集めている「副腎」の働きについても触れる。副腎が弱り、体全体の乱れに対処できずにホルモンバランスをくずすことで血液の滞りが生じ、長期的ストレス、さまざまな病気を招くと警告。
血液のめぐりを改善し、健康維持する「健康三原則」(熟睡、小食、足の冷え防止)につながるストレス解消点をイラストで紹介。「心の健康を保つにはストレスを生涯の伴侶と思い、己の糧に」と、ストレスの種類によっては前向きにつき合うこともすすめる書。
私は、西洋医学には以下のような疑問を感じていました。
1.治療の多くは対症療法であり、薬で症状を抑えるだけであること
2.治る病気のほとんどは自己治癒力によって治り、医者や薬が治すわけではないこと
3.病気の根幹は患部(体の一部)であるとする考え方(点の医学)
4.しかるに、治療の主体である薬は(血液を通じて)体全体に作用するという矛盾
5.治療が投薬、手術(放射線)に束縛されて西洋医学の考え方が歪められている
このような疑問がありましたので、西洋医学や生命科学の原点に立ち返って有効な治療法を模索する試行錯誤を繰り返してきました。
一方、様々な病気や症状に悩む方の健康指導(治療)を行う過程で病気や痛みは’長期的な)炎症、あるいはそれから派生したものであることに気づきました。要するに、しこりの発生です。しこりの原因は血行障害による炎症ですが、その延長上にがんによるしこりもあります。逆に、しこりを解消して血行をよくすればどんな症状も回復します。
また、多くの人の体に触れて重い病気を患っている人はたいてい強いストレスを抱えていることに気付きました。そして、ストレスは自律神経を乱して特定の器官の血流を悪くします。
結局、ストレスの継続が病気を招くことは、個人的な経験だけでなく、医学・生理学の立場から説明できるわけです。言い換えれば、長期的なストレスを防げば重い病気にならないことになります。
このような理由で、がんなど、多くの病気の予防は簡単であることをぜひ知っていただきたいという思いが出版の動機になりました。
―出版前後で何か変化はありましたか?個人的には、内臓の障害を改善する努力を始めました。
自分の体には無頓着なところがあり、長年、不規則な生活や無理をしてきました。そのため、胃や肝臓、腎臓などに問題を生じています。
ところが、がんなどの重い病気は防げるという本を書いておきながら自分自身がそのような病気になったのでは私の説は信用されなくなります。
従いまして、今までは人の病気を治すことに熱心で自分の体には無頓着でしたが、本を書き始めてからは、自分自身の臓器の改善にも多少時間を使うようになりました。
死に対する考え方の違いに強い印象を受けました。
私は生と死は隣り合わせにあり、死を無視して(あるいは忘れて)生きることは、(実感を持って)本当に生きていることにはならないという価値観を持っています。そのため、健康本に「死」という言葉や「墓場への近道」などと言う言葉を使うことに違和感を持たなかったのですが、このような言葉に強い拒否反応がある人がいることに新鮮な驚きを感じました。
ただ、老化の意味を簡単に説明するために、最初は「老化は年齢と共に死ぬ危険性が大きくなること」と書きましたが、これは言葉の定義ですから編集者の提案に従って無理に書き直す必要はなかったのではないかと今では思っています。
―読者にメッセージをお願いします。一般に、学歴のある人ほど西洋医学を信頼し、また頼る傾向があります。それが病気社会をつくっていることに多くの人は気付いていません。重い病気になる、あるいは早死にするのは、決して運が悪いからではありません。なるべくしてなるのです。
人の体と心を診ることができず、また薬と検査機器に頼る現在の医療では、病気の本質を知ることができません。がんの専門医ががんになることがあり、早死にする医者や看護師が少なくないのです。このことに疑問を持っていただきたいのです。
医学が進歩し、新薬もたくさん出ています。医者や薬が増え続けていますが病気は減りません。それどころか、多くの病気が増加しています。特に、アレルギーや心の病などは数十年前とは比較にならないほど増えています。
さらに介護が必要な人が増え続けていますが、このような人の病気は場の医学などでは治せるのです。ところが西洋医学では治せません。西洋医学は万能ではありませんし、必ずしも有効な医学ではないのです。そもそも、社会に必要なのは病院ではなく健院であるべきです。医者の医学は、必ずしも西洋医学を正しく実践しているわけではありません。西洋医学を否定する必要はありませんが、医者の医学の呪縛を解けば、医者も薬も殆ど不要な健康社会が実現できること理解していただきたいのです。それが本書の意図するところ、隠れたテーマです。
この本を多くの方が手に取っていただけるように願っております。
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