執筆お役立ちコラム

闘病記の原稿作成ポイント|闘病記出版講座

前回は闘病記とは何か、どのように書き始めたら良いのか、執筆ネタなどを紹介しました。

最初は日記やブログなどを活用し、どんどん書き出していくことが大切ですが、出版することを前提に闘病記を書くのであれば、原稿作成のポイントを予め把握しておいてから書く方が後々スムーズになります。

そこで今回は、闘病記の書き方についてさらに踏み込み、出版原稿らしい状態に仕上げるためのポイントをお伝えしていきます。

 

単純な闘病記録にならないよう原稿をアレンジする

 

闘病記で多く見かける構成が、時系列順にその時の状況が記録されているタイプのものです。「●月●日に何が起きた」「その時私はこうだった」といった文で、それが200ページ近く延々と続き、非常に単調な文章になってしまっています。これだと著者の気持ちや当時の切迫感などが十分に伝わってこない闘病記になってしまいます。

そこで、調子の異なる文体になるよう、文章やイラスト、写真などを入れてアレンジしていきましょう。例えば、状況説明や著者の想いが書き綴られた章の最後に、その時の気持ちをエッセイや詩にしてみる、短歌や俳句にしてみる、大切な人への手紙形式にしてみるなどあります。この方法だと、堅苦しい文体から開放され、読者に受け入れられやすい形になり親しみをもってもらうことができます。

 

闘病記は文章に限らず、人や物を撮影して紹介することも

 

その他にも、リハビリ中の様子や支えてくれた人々の雰囲気が伝わる写真、辛いときに支えられたものを撮影して紹介するのも良いでしょう。当時の状況がリアルに伝わってこそ、あなたの闘病記に読者を引き込むことができます。

闘病記を書くときは単純に記録するだけでなく、もっとうまく伝える方法はないかを考えましょう。思い浮かばなければ他の人たちの闘病記を読んで、事例を集めてみてください。

 

闘病記では、専門用語を使った状況説明は抑え目に

 

病名や病状、治療の経過などを詳しく伝えるために、病気に関する専門用語を使う場合がありますが、なるべく抑え目にまとめるよう注意しましょう。病気への誤解がないよう正しく伝える必要はありますが、あまり詳しく解説してしまうと、その病気の患者に詳細を解説する医療実用書になってしまいます。これでは闘病記になりません。

 

 

細かい解説はそうした医療分野の専門家に任せ、どうしても説明が必要なところは出典を加えながら簡潔にまとめます。病状を説明する際は、病名や体の組織などの名称に留め、医療機器や成分の解説は控えめにします。

 

闘病記ではなく医学実用書としても出版できる

 

但し、逆にそうした物事への関心が強く、治療をしてみて世間が抱いているイメージとギャップを感じた、辛い副作用がある・またはあると言われているが全然感じなかった、といったことを感じたのであれば、医療実用書として原稿を執筆してみても良いかもしれません。

闘病記として書く場合は、あくまで著者や周りの人々の行動や考え、心の変化について書いていきましょう。

 

闘病生活で感じたこと+ 闘病記を執筆している“今の視点”を加える

 

闘病記は当時の状況や感じたことを中心に書いていきますが、病状が発覚したり治療の初期段階などは、情緒不安定で冷静な考えが出来ないものです。当時を思い出して書いてみると、急激に怒ったり泣いたり不安になったりと、自分でもあまり理解できない行動をしていた場合があります。

しかし、今になって冷静に考えてみると、あの時はきっとこんな風に感じていたからじゃないか、本当はこんな気持ちだったからあのような行動に出たのではないか・・・といった新たな視点での考えが生まれるものです。

そのため、読者にうまく説明できない場面に直面した時は、今の視点で「あの時の気持ちはきっとこういう事だったのだろう」という様な補足を加えましょう。読者としても、第三者目線のような冷静な分析が入っている事で受け入れやすくなります。

以上がごく一部ではありますが、闘病記の原稿作成ポイントになります。これらは患者、患者を支える人たち、どちらが執筆する場合でも活用できる方法です。

闘病記の原稿を書く際は悲しみや苦しみが先行し、読者への配慮が後回しになりがちです。最初は書くことにエネルギーを使って構いませんが、こうした読者目線での書き方についても目を向け、原稿としての精度が上がるよう少しずつ手を加えていきましょう。

 

闘病記を書く喜びを感じよう

 

闘病記は簡単にできることではありませんし、手間隙がかかってしまうものですが、書き進めていくうちに気持ちが整理されたり、辛かった記憶が意義のあるものに思えたりと、心の変化を感じられる事が闘病記執筆の魅力でもあります。

原稿として体裁を整える際は、そうした変化を楽しみながら進めていきましょう。

 

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