執筆お役立ちコラム

プロットの役割や書き方を学び小説を磨きあげよう

「小説を書いてみたい」そう考えたことはありませんか?頭に浮かんだストーリーやキャラクターをもとに物語を紡ぎたいと感じる人は多いものです。

しかし、いざ書き始めると、急に筆が進まなくなったり、前後の話の筋がちぐはぐになったりと想像以上の難しさを感じることも。

そこで今回は、小説を書き始める前に行うべきプロットの重要性を解説します。プロットの役割や書き方を学ぶことで、頭の中でぼんやりと思い浮かべた物語の輪郭がハッキリとし、その後の執筆に役立つはずです。

プロットとは小説における役割

プロット作成には、どのような役割があるのでしょうか。ここでは、プロットの重要性や何を書くべきかを説明します。

小説におけるプロットとは

プロットは、その役割をよく、「小説の設計図」と表現されます。物語を作成する時に必要な、行くべき道筋を指し示す羅針盤のようなイメージです。

プロットは小説のみならず、舞台、映画やドラマ、漫画の世界でもストーリーの筋や構想をまとめるために使われています。ドラマや映画の世界では脚本(シナリオ)とよく耳にしますが、この脚本もプロット作成で話の構成やテーマが決まった後に作られるのです。

プロットには何を書く?

プロットには、どのような要素が必要でしょうか。プロットを作る時に最低限考えておきたいことをまとめました。

〇テーマ(主題)
〇キャラクター
〇舞台や世界観
〇話の筋(ストーリー)

少なくとも、これら四つの要素はプロット作成時に練っておきましょう。できるだけ具体的に、細かな部分までプロット作りで内容を詰めておけば、執筆作業がはかどるはずです。実際にプロットをどのように作るかは「プロットを作る流れ」の章で解説します。

あらすじとの違いは?

小説の内容を書き記すものとして「あらすじ」があります。同じく小説の中身をまとめた「プロット」との間にどのような違いがあるのか分かりますか?

プロットとあらすじの一番の違いは、その目的にあります。プロットは、執筆者が小説を書くうえでの方向性(軸)がブレないように自身のために要点をまとめるのに対し、あらすじはストーリーの概要が分かるよう読者のために作られたものです。

また、プロットは、小説を書く際の骨格なので要点を矛盾なくまとめる必要がありますが、一方のあらすじは多少ストーリーが前後しても小説の魅力を端的に読者に伝えることが重要になります。

プロットを作成するメリット・デメリット

プロットの役割を理解しながらも、思いついたストーリーで小説をすぐに書き始めたくなる人は多いでしょう。しかし、丁寧なプロット作成後に書き始めた小説と、そうでない物には大きな差が生まれます。そこで、この章ではプロットの役割から一歩踏み込んだメリットやデメリットについて解説します。

【メリット】

・小説テーマとのブレを防ぐ
小説には、全体を通して執筆者が伝えたいテーマ(主題)が存在します。
しかし、プロットを作らず思いのまま突き進むと、いつの間にか話がテーマから逸れて“一体何を伝えたい小説なのか”と読者を置いてきぼりにしてしまうことも。
プロットを作る時にテーマを意識した構成にすれば、ストーリーが進んでも軸がぶれることはありません。前後のストーリーの矛盾を防ぐためにも、始めに構成で小説の道筋を決めておくと良いでしょう。

・全体のバランスを確認できる(他者に見てもらうこともできる)
いきなり頭にある構想を文章に落とし込むと、執筆者の書きたい内容に分量を多く割いてしまいがち。その結果、全体のバランスが偏り、小説の完成度が低くなってしまいます。そこで、“どの章を、どれくらいの分量で書くのか”プロットを作成すれば、全体のバランスを俯瞰で見るのに効果的です。

また、プロットは本来執筆者が設計図替わりに自身のために作成するものですが、構成やストーリー展開の全体像を確認できるので、他者から意見をもらう際にも役立ちます。

・執筆が早く進む
プロットを作るのは時間がかかり、一見すると手間なように感じます。しかし、実は執筆を早く進めるのに効果的なのです。
プロットの無い状態でいきなり小説を書き始めると、多くの場合、途中で筆が止まります。テーマから逸れることや、次に進むべき道が分からなくなり、出口の無い迷路に迷い込んでしまうことも。
そんな時、プロットがあれば地図のように行く先を照らし、テーマからズレそうな時も元の位置へと引き戻す役割を果たしてくれます。最初にプロットを作るのは面倒に感じるかもしれませんが、総合的に考えれば執筆スピードは速くなるはずです。

・あらすじ作成のヒントにも
小説投稿サイトや新人賞への応募には、多くの場合あらすじの提出が求められます。そんな時にもプロットは役立つのです。

読者に小説の魅力が伝わる「あらすじ」になるように、構成メモやキャラクター設定などを振り返ってみましょう。小説全体を端的にまとめるのは容易ではありません。しかし、プロットがあれば、伝えたい内容や全体の話の筋、キャラクターの魅力が凝縮されているので作成のヒントになるはずです。

【デメリット】

・プロット作成の労力と時間
プロットを立てるデメリットがあるとすれば、それは労力と時間がかかることです。
誰しも、思いついたアイディアを勢いに任せて書いていきたいと感じる気持ちはありますよね。頭に浮かんだストーリーが輝いて感じていたのに、いざプロットを作るうちにモチベーションが下がってしまうことも考えられます。

確かに、有名作家の中にはプロットを作成せずにいきなり小説を書き始める人もいますが、小説を書きあげた経験が無い場合は、やはりプロットを作成してから書きだすのが無難です。時間はかかりますが小説執筆において、プロット作成は、その労力と時間をかけるだけの効果が期待できます。

プロットを作る流れ

実際にプロットを立てる流れを学びましょう。具体的手順や構成要素を解説します。

設定を決める

まずは小説の設定を決めていきます。
前の章「プロットには何を書く」でも述べたように、主に練るべき内容は下の四点です。一つずつ詳しく見ていきましょう。

➀テーマ(主題)
テーマとは小説の核となる部分です。物語を通じて、読者に対して作者が一番伝えたいこと(思い)は何か考えるとテーマに結びつきます。この主題が曖昧だと執筆中にストーリーの軸がブレてしまいがち。多少労力はかかっても、核となるテーマ選定は時間をとってじっくりと考えましょう。ただし、テーマがあまりに広がり過ぎてしまうと何が重要なのかぼやけてしまいます。

まずは、構想メモとしてテーマの種をいくつか書きだした後に、特に伝えたい思いを絞り込む作業を加えると良いでしょう。

➁キャラクター
魅力的なキャラクター設定は、小説を輝かせる鍵となります。伝えたいテーマをキャラクターに託すつもりで、どのような登場人物が必要か考えましょう。

登場人物が大まかにきまったら、一人一人どんな容姿や性格をしているか細かい設定まで詰めていきます。爆発的にヒットするアニメや漫画の人気キャラクターは、一人ずつの履歴書(プロフィール)まで作りあげることも。小説には出てこない細部までこだわった設定が魅力的なキャラクター作りには欠かせません。

➂舞台や世界観
テーマやキャラクターが決まれば、次に小説の舞台や世界観を考えましょう。
SF小説、歴史小説、宮中小説、異世界転生ものなど、小説の舞台や世界観には実に様々な種類が存在します。

舞台や世界観の設定によって、よりリアリティを出すための取材や文献での調査が必要になることも。また、舞台や世界観の設定によって適した文体(語尾)も選ぶと良いでしょう。

④話の筋(ストーリー)
テーマ、キャラクター、舞台が決まれば、いよいよ話の筋(ストーリー)を練っていきます。ストーリーの型では「起承転結」や「序破急」が有名です。核であるテーマからブレることのないように、話の道筋や各章の分量も考えていきましょう。

プロット作成の注意点は?

プロットを作る時には、下の三点に注意が必要です。

・テーマ(主題)と各構成内容が離れていないか
・前後の矛盾点はないか?
・執筆前に何度か日を開けてプロットを確認したか

プロット作成のメリットは、主題との乖離やストーリーの矛盾を無くす点にあります。しかし、プロットの段階で既に構成が主題とずれていたり、前後の展開におかしな箇所があったりすると小説を書く前から内容が破綻してしまうのです。
上の三点に注意しながら、小説執筆前に、できれば第三者にプロットを確認してもらうと良いでしょう。

まとめ

プロット作成は、小説の行く先を照らす羅針盤の役割を果たします。
労力と時間はかかりますが、プロットを作っておけば、小説執筆中に核であるテーマから外れるのを防ぐだけでなく、全体のバランスを客観的に確認することも可能です。執筆中に筆が止まった際も、プロットが行く先を示す道標となり、総合的に見れば小説を書きあげる時間の短縮にもつながります。

プロットを作る時は、テーマ・キャラクター・世界観・ストーリーの少なくとも四つの要素を練っていきましょう。いきなり全てを決めるのは難しい作業ですが、日々構想をメモに残しておくとプロット作成に役立ちます。

迷ったら編集者に相談を

プロット構成に行き詰まったら、ぜひ編集者へ相談して下さい。
物語の構成をヒアリングし、作品に合ったプロット作りからアドバイスも行っています。
無料相談会のご予約はこちら

関連コラム

テキストのコピーはできません。