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なぜ『動物の写真集』は売れるのか(1)

約90万部の発行部数を誇る『人生はニャンとかなる!』(水野敬也、長沼直樹・著)を始めとした可愛らしい動物の写真集。書店で見かけたことがある人も多いのではないでしょうか。
今や書店の写真集コーナーの一角を占めており、毎年たくさんのベストセラーが輩出されています。

これまで写真集といえば、芸能人の写真集や風景写真をまとめたものなどが一般的でしたが、近年ではそうした動物写真集の出版が急増しています。

そこで今回は、なぜ急に動物写真集の出版が増えたのか?なぜベストセラーがたくさん生まれるのか?この2点に着目して考えていきます。
動物の写真集を出版してみたい方は、参考にしてみてください。

 

重厚な装丁の“愛蔵版”から、安くて手軽な“エッセイ”へ

これまでの写真集は、ページいっぱいに印刷されたフルカラーの写真集で、ハードカバーでサイズが大きく、価格は3,000円以上。書籍でいう“愛蔵版”を思わせるものが多く見られました。
読者からすれば、興味・関心のある物事の写真を余すところ無く見ることができるため、非常に満足度の高いものであったと考えられます。しかし一方で、持ち運びにくい大きさや価格帯から、気軽に購入できるものではありませんでした。

近年売れている動物の写真集は、一般的な文芸書サイズの四六版よりも小さく、中には手のひらサイズのものまであります。ソフトカバーで軽くて扱いやすく、ページの半分程度に写真を載せて後はひとことメッセージを添えるなど、まるでエッセイのような内容に仕上がっています。その分価格も安く、フルカラーでも1,000円台で購入できるものも登場しました。

このように、手軽に扱えるサイズになったこと、気軽に読める内容になったこと、購入しやすい価格になったことなど、読者にとって写真集を手にするハードルが下がったことが、写真集の出版が増えた要因ではないでしょうか。

 

誰でも気軽に写真を撮れる、発信する場所がある

そうした手に取りやすい写真集が増えたことには、著者(撮影者)のライフスタイルの変化が影響しています。
写真集に掲載する写真は、撮影慣れしたプロ・アマチュアのカメラマンが一眼レフを使い、さまざまな撮影技術を用いて撮るというものでした。現像も、フィルムを暗室に持込んで、納得のいく仕上がりを目指してこだわる…というのが旧来のイメージです。

それが近年では、デジタルカメラやスマートフォンのカメラで誰でも気軽に撮影でき、さまざまな補正機能で初心者でもきれいな写真を取ることが出来ます。撮った写真はデータとして保存しておき、ブログやSNSなどに投稿することで、たくさんの人に見てもらうことができます。

最近はSNSに投稿した写真の人気がきっかけとなり、写真集を出版する人が増えています。そうした写真集は気軽に手にとれるよう、内容や装丁などが工夫されており、より多くの人に読んでもらうことで話題化を狙っているのです。
そして読者の口コミによってさらに人気に火がつき、各出版社がこぞって動物写真集を出版するようになったものと想定されます。

写真集を出版して、1冊でも多く売りたい!話題になってほしい!という方は、以上のような写真集市場の動向を知っておきましょう。

次回は、「なぜベストセラーがたくさん生まれるのか?」について考えます。

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