思わず引き込まれてしまう本の「表紙」のヒミツを探ろう (2)
人気書籍を事例に、売れる表紙のデザインを考察する本コラム。
前回は、装丁家の萩原弦一郎さんのデザインの秘密や、イラストレーターの中村祐介さんについて取り上げました。
今回は、レシピ本や可愛らしい表紙デザインで人気の書籍を参考にみていきましょう。
企業アピールで「限定感」と「信頼感」を与える
まず取り上げるのが、健康の代名詞として知られるタニタの『体脂肪計タニタの社員食堂 ~500kcalのまんぷく定食~』。
企業によるレシピ本出版の火付け役となりました。
他にもカルピス株式会社が監修した『カルピス社員のとっておきレシピ 69 RECIPES』、『ミツカン社員が知っている「味ぽん」魔法のレシピ 国民的調味料のさらにおいしい使い方』(ミツカン・監修)などがあります。
社員食堂でしか食べられない料理レシピや、社員しか知らないレシピといった限定感を訴求しています。また、健康商品を開発している企業の社食で提供されていたり、商品の販売元が紹介するレシピとなれば、信頼感も増すものです。
このように、出版元をアピールするために企業名や企業ゴロ、商品名、商品や料理の写真などを載せることが、売上を伸ばすポイントになると考えられます。
宝物として飾っておきたくなる表紙
次は、毎年100冊以上の装丁を手がける、名久井直子さんがデザインした本を見てみましょう。
いかがでしょうか?
本棚に置いておくだけで嬉しくなってしまう、とても可愛らしいデザインですね。綿矢りささんなどの著名作家も御用達の、名久井直子さんの表紙。
このように、プレゼントのような感覚を与える表紙デザインもまた、本の売上に貢献しているのではないでしょうか。文芸書を始め、エッセイや女性向けの実用書には、表紙デザインに凝ったものが多くみられます。
最近では、『フランス人は10着しか服を持たない~パリで学んだ“暮らしの質"を高める秘訣~』(ジェニファー・L・スコット著、神崎朗子 翻訳)のような女性に向けた本の表紙には、エメラルドグリーンが使用されています。
これは世界中で人気のジュエリーブランド、ティファニーのブランドカラー“ティファニーブルー”を意識したもので、本の表紙に高級感を持たせる役割を担っています。
このように、表紙の色ひとつで読者に与えるイメージも変えることができます。
読者となるターゲットがどんな人なのか、どんなことに興味があるのかを事前に想定し、美しい、可愛らしい表紙を届けるつもりで考えてみましょう。
以上、参考になる表紙のデザインをご紹介しました。
他にも魅力的な本の表紙は山ほどありますから、いろいろな表紙を見て「自分が書いた本の表紙はだったら、どうだろうか?」と考えてみましょう。
(出典:すべてAmazon)