書籍の交通広告のヒミツ
電車内には中吊りポスターをはじめ、窓の上、ドアの上、ドア横のポスター、ドア周りのステッカーなど、さまざまな場所に広告が掲載されています。
なかでもドア周りは特に書籍の広告が多く、出版社も注目を集めています(『新文化』2016年9月1日付による)。
実際、ベストセラーになった書籍の多くがドア周りに広告を打っています。
一体なぜ「ドア周り」には書籍の広告が多いのでしょうか。
本コラムでは、言われてみれば確かに、とうなずける電車広告の秘密をご紹介します。
2人に1人が見ている! 出版社も注目するドア周りの広告
ドア周りに書籍広告が多い理由は、大きく分けて2点あります。
第一に、ドア周りは乗客が密集しやすい場所であるということ。
第二に、ドア広告は乗客の目線と同じ高さにあるため、目につきやすいということです。
では具体的に、広告はどのぐらい目に留まっているのでしょう。
乗客のうち何名が広告を目にしたかを表した指数を広告到達率といいます。
JRグループの広告代理店であるジェイアール東日本企画によると、ドア横広告の到達率は49.8%、約2人に1人が見ていることになります。
またドア周りのステッカーでも、28.5%と約3人に1人が見ているのです。
こうした数字を見ると、ドア周辺の広告をかなり多くの方がご覧になっていることが分かりますね。
出版社が高い期待を寄せているのにも、数字的な裏付けあってのことなのです。
駅ナカ、駅周辺の書店も交通広告に注目
ドア周りの広告の強みは到達率だけではありません。
広告を見て電車を降り、駅ナカや駅近くの書店ですぐに書籍が購入できるため、購買につながりやすいことも強みなのです。
この長所を活かし、電車を降りてすぐに書籍を買える社会人が対象の書籍をドア横で宣伝するという出版社の戦略もあるようです。
実際交通広告では、自己啓発書・ビジネス本・実用書といったジャンルの書籍を頻繁に目にします。
例えば京王グループ内で「啓文堂書店」を展開している京王書籍販売株式会社の販売戦略を見てみましょう。
(出典:http://www.keibundo.co.jp/shop/post_10/)
啓文堂書店では、電車内のドア横広告と同じデザインのポップ(商品の近くにある紙媒体の広告)が使われています。
また新刊に限らず、売上好調な書籍、あるいは書店イチオシの書籍を売り出す方針で、出版社と広告費を折半してポスター掲載をしています。
こうした書店の取り組みも、読者の意識に書籍のイメージを刷り込む作戦となっているのです。
電車で偶然広告をみて、最寄り駅の書店で買ってしまう──そんな経験があるとしたら、あなたも書店の戦略を肌で体感しているということです。
(参照:https://trafficnews.jp/post/59692/2/)
まとめ
最後に、本コラムでご紹介した内容をおさらいしましょう。
・ドア周辺は2人に1人が目にする、書籍広告のホットスポット。
・車内広告を見てそのまま駅ナカの書籍へ直行、というのが、交通広告のいわばゴールデンルート。
・出版社も書店も揃って注目している、高い宣伝効果を生むのが交通広告である。
通学や通勤時、ぜひ電車の書籍広告に目を凝らしてみてください。
どこに広告があり、どのように宣伝されているか──そこには、販売促進に熱意を燃やす書店や出版社の取り組みが如実に反映されているのです。