神話や昔話はなぜ現代人にとってはわかりにくいのでしょうか。それは伝承者が、物語が本来伝えようとしていた内容をどこかに置き忘れてきたからです。人類が歩んできた歴史を理解すれば、つまりその時々の社会制度を理解すれば、置き忘れたものが見えてきます。そして私たちの祖先はなぜ、意味のわからない物語を継承し続けたのでしょうか。それはこれらの物語の深層部分に、傷ついた人の心をいやす、ふしぎな力があったからです。本書では、この二つのテーマを中心に、あたかも著者自身が物語の主人公であるかのごとく、謎解きの冒険がくり広げられます。魔法とは何か、援助者とは何か、呪物とは何か。物語に隠れた謎を解く手がかりが満載の解説書です。