絵本の自費出版とは?自費出版の進め方や費用の目安を紹介
近年絵本が大きなブームになっており、『えんとつ町のプぺル』などのベストセラー絵本も誕生しています。そのため絵本の自費出版を考えている方も多いのではないでしょうか。
大手出版社の場合、絵本の自費出版には300万程度かかりますが、「自分の考えたストーリーが形になる」のは大きな喜びです。また出版までのハードルが低く、原稿と費用があれば誰でも本を出版できるメリットもあります。
この記事では絵本の自費出版を考えている方向けに、「絵本の自費出版の進め方」や「費用目安」を紹介します。
絵本の自費出版とは?
「絵本を自費出版する」とはどういうことなのでしょうか。自費出版と商業出版の違いを紹介します。
絵本の自費出版と商業出版の違い
絵本の自費出版とは「著者が自分で費用を出して絵本を出版すること」です。出版作業すべてを自分で進める必要はなく、「編集」「印刷・製本」「書店への流通」などについては、出版社がサポートしてくれます。
対して商業印刷では、出版社が費用を負担して絵本を出版します。商業出版では著者に費用負担はありません。また「作品の使用料」として出版社から著者に印税が支払われます。もちろん「編集」「印刷・製本」「書店への流通」なども出版社が行います。
そのため費用のかかる自費出版ではなく、自己負担のない商業出版を目指す方も多くいます。商業出版を目指し、絵本コンクールなどに応募したことがある方もいるでしょう。
しかし商業出版には「出版までのハードルが高い」「作品に編集者・出版社の意見が反映されてしまう」というデメリットがあります。
自費出版のメリット・デメリット
自費出版のメリットは「自由度の高い自己表現が可能」なことです。自費出版ですと、絵本のテーマ・内容に制限がかかることはあまりありません。そのため自分のつくりたいように絵本をつくれます。
また作品と費用さえ用意すれば誰でも確実に出版が可能なのも、自費出版のメリットです。
一方自費出版のデメリットとしては、やはり「費用がかかること」が挙げられます。とくに絵本の場合、「ハードカバー仕上げ」「フルカラー印刷」など費用が高くなる印刷・製本方法を採用することが多いので、絵本1冊あたりのコストが高くなりがちです。
絵本を自費出版するときの流れ
絵本を自費出版する際の流れを紹介します。
「原稿作成の進捗状況」「契約先の出版社」によっては多少フローが前後することもありますが、一般的には以下のような流れで進みます。
絵本の原稿を完成させる
まずは絵本の原稿を完成させます。
なお実際の原稿作成にとりかかるまでには、以下のような準備が必要です。
- 絵本の研究
- テーマ決定
- キャラクターづくり
- 構成づくり
- 画材・使用ソフトの決定
- 絵本サイズの検討
- 絵コンテ作成
準備が整ったら、絵コンテを参考に原画・原稿を描いていきます。
手書きでもいいですし、デザインソフトを使ってもOKです。どの画材・ソフトが使いやすいかは、絵のタッチにもよります。いくつか試してみて、相性の良い画材やソフトを探すとよいでしょう。
なお絵本の原画・原稿作成にあたっては、絵本ならではの注意点があります。以下の点に注意して作成を進めてください。
- 文章は原画に直接書かず、別の用紙に書く
- 中央部分(綴じ部分)には絵や字を入れない
- 端まできれいに印刷するため、外側に3~5mmほど塗り足しが必要
原稿が完成したら対象年齢の子ども(大人向け絵本なら大人)に絵本を見せ、反応を探って作品をブラッシュアップしていくのがおすすめです。もちろん出版社の編集者にも相談できます。
原稿を出版社に送って見積もりをとり、契約
原稿が完成したら、出版社に送ります。編集者が原稿をチェックして見積もり書を提案しますので、内容に納得すれば正式に出版契約を結んでください。
費用の支払いタイミングは出版社により異なりますが、「契約時点で半額入金」など、契約時にいくらかの入金が必要となるケースが多いです。
出版社から提案された企画・見積もりで確認しておきたいポイントは以下の通りです。
- 出版費用
- 本の仕様
- 校正回数
- 含まれるサポート内容
校正回数が多くなると追加費用が発生する場合がありますので、「校正の上限回数」と「校正の上限回数を超えた場合の扱い」はしっかり確認しておきましょう。
校正紙が届くので、修正して返送
契約を結んだら、出版社が原画・原稿(テキスト)をもとにページレイアウトを行います。同時に表紙デザインなどの装丁作業も進みます。
レイアウト・デザイン案ができたら出版社から校正紙(ゲラ)が送られてくるので、チェックして修正箇所を指示してください。修正の書き込み方にはルールがあるので、前もって編集者に聞いておくと、戸惑わずに進められます。
絵本では色も重要なので、色がイメージ通りに出ているかチェックする「色校正」という工程もあります。
印刷・製本し、書店へ
校正が終わって原稿が完成したら、印刷・製本が行われます。
印刷・製本のスケジュールは出版社や印刷会社によってさまざまです。「クリスマスや子どもの誕生日に合わせて」など出版したいタイミングが決まっている方は、契約時点でスケジュールを確認しておきましょう。
印刷・製本が終わったら本が著者に納品され、流通させる場合には書店にも納品されます。在庫分は出版社の倉庫などに保管されます。
絵本を自費出版できる出版社の選び方
絵本の自費出版にあたって出版社を選ぶコツを紹介します。
絵本を得意としている出版社を選ぶ
まずは絵本と得意としている出版社を選びましょう。具体的には「絵本の出版実績が豊富で、絵本についてのノウハウをもつ編集者がいる出版社」です。
絵本が得意な出版社に依頼することで、的確なアドバイスが受けられ、本のクオリティも高まると期待できます。
公式サイトを見て、「これまでに出版した絵本が紹介されている」とか「絵本を出版したい人向けのアドバイスが充実している」といった出版社をいくつかピックアップしてみるといいでしょう。
過去に絵本を自費出版した人のクチコミも参考になりますが、ネットのクチコミには嘘や間違いも多い点には注意してください。
予算内に収まる出版社を選ぶ
出版社選びでは「費用が予算内に収まること」も大切です。予算内に収まる出版社を効率的に選ぶコツは、以下の通りです。
- おおまかな予算を決める
- 同じ条件で複数社から見積もりをとる
- 追加費用が発生する可能性について確認する
- 費用内訳が明確でわかりやすい出版社を選ぶ
自費出版では「校正段階で追加費用が発生し、思ったより費用がかかった」というトラブルもよく聞きます。そのため「追加費用の有無」については、とくによくチェックしておく必要があります。
また費用について質問したとき、明確に説明してくれない出版社は避けた方がよいでしょう。
必要なサービスがついているかチェックする
必要なサービスが受けられるかもチェックしてください。
例えば「原稿(テキスト)はあるが、自分で絵は描けない」という方なら、出版社がイラストレーターを手配できるかチェックしましょう。「企画段階から相談に乗ってほしい」という方なら、編集サポートが充実した出版社を選ぶ必要があります。
いくら費用が安くても、必要なサポートがないと満足いく絵本がつくれません。また流通や販促面が弱いと、思ったほど絵本が書店に並ばず、残念な思いをする可能性もあります。
例えば印刷会社に印刷・製本だけ依頼する場合には、編集や流通のサポートは期待できないでしょう。出版社でも編集・流通サポートが手薄なところもありますので、注意が必要です。
絵本の自費出版にかかる費用の相場
絵本の自費出版にかかる費用について紹介します。
絵本の自費出版費用は部数や仕様によって異なる
大手出版社でB5サイズの絵本を1,000部出版する場合には、300万円~程度かかります。自費出版を専門としている出版社などに依頼する場合には、より安い費用で出版可能です。
ただし絵本を自費出版するための費用は、「部数」「仕様(製本方法やページ数)」「書店流通の有無」などによって異なるため、どの出版社であっても、見積もりをとってみないと正確な費用はわかりません。
なお絵本は「フルカラー」「ハードカバー」「大きめサイズ」でつくることが多いため、文庫本などに比べて費用は高くなる傾向にあります。また必要なサポートや部数が多いほど、費用は高くなると考えてください。
自費出版の費用を抑える方法
絵本の自費出版にかかる費用を抑える方法としては、以下のようなものがあります。
- 絵本のサイズを小さくし、ページ数を減らす
- 発行部数を減らす
- 電子書籍で出版する
妥協できる点があるのなら、費用を抑える方法を検討し、出版社と相談してみましょう。「必要なサービスのみに絞る」など、柔軟に対応してくれる出版社もあります。
自費出版した絵本の印税
自費出版した絵本については、基本的に印税は発生しません。なぜなら印税は「著作権使用料」であり、出版社が他人の著作物(絵本の原稿)を使って本を出したいときに支払われるものだからです。
自費出版の場合、費用を負担するのは著者であり、出版社が著作物を利用しているわけではありません。そのため自費出版の絵本に対して「著作権使用料」である印税は発生しません。
ただし絵本の売れ行きが好調で、出版社が費用負担して増刷・重版することを決定した場合には、増刷・重版分にのみ印税が発生します。
なお印税の計算式は「絵本の価格×発行部数or実売部数×印税率」です。印税率が発行部数に対してかかるか実売部数に対してかかるかは、契約により異なります。商業出版の場合、印税率は10%以下であることが多くなっています。
まとめ
絵本を自費出版するメリットは、自由な表現が可能であることです。自分の考えたストーリーが絵本としてかたちになると、大きな喜びを感じられます。
絵本の自費出版にあたっては「絵本を作る目的」や「必要なサポート」をはっきりさせ、ニーズに適した出版社を選びましょう。
幻冬舎ルネッサンスは絵本の出版実績が豊富で、「絵本の値段設定」なども含めて担当者がしっかりサポートしますので、絵本を出すのがはじめての方でも安心して任せていただけます。原稿がない状態でもご相談いただけますので、ぜひお問い合わせください。