表現者の肖像 墨崎正人
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執筆に秘めた思い

きる上で幸福は欠かせないテーマとなりますが、日本には元々幸福という言葉が存在せず、明治になって誕生し使われだした経緯があります。この奇妙なズレの要因をあれこれ考えてみると、井原西鶴の「この世は色と欲だ」というセリフに行き当りました。

西鶴は江戸時代切っての作者ですが、彼が言ったとされる「この世は色と欲」のセリフは元禄の世の当時の人々の生き様を見据えた、作家らしい表現だと思いますが、この生き方は現代の私たちにも受け継がれており、日本文化の一側面となっています。

色と欲で生きた人生は当の本人は満足した人生となるでしょうが、傍の者にとっては独善的で迷惑な生き方となるものです。

幸福には他人との共存、協働が欠かせません。独りよがりの生き方は生きる目的を履き違え、幸福のパラドックスに陥る原因になるものです。私は日本人の生き方に照準を当て、本書のタイトルを「幸福と日本文化のミスマッチ」とし本書を書き上げてみました。

幻冬舎ルネッサンス

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