表現者の肖像 西村毅
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人生を変えた出会い

 20代のころ、銀行調査部で上司であった神田延祐さんとの出会いが印象的です。すでにエコノミストとして高名でありましたが、「頭はいくら使っても、よくなりこそすれ、悪くなることはあり得ない」と発破をかけられていました。神田さんには、若いころ、1か月ほど田舎に引きこもり名著を残されたというエピソードがあり、我々にも随分とご自分の経験(執筆活動)を勧められました。

 神田さんは一線を退かれてから、大阪大学大学院に進まれ、貨幣論の研究に打ち込まれました。あくなき追及心に、私も無形の影響をうけ、私が大学院に進学するにいたった貴重な案内役でもあります。

 プライベートでも、仲人をお願いしたり、三和総研勤務時代には、お嬢さんが研究員としておられたり、といろいろお世話になりました。

 なお、私は、50歳ころから三和総研でお世話になりましたが、その時の社長であった松本和男さんにも貴重な出会いをいただきました。当時、挫折感にさいなまれていた私を温かく包容し、要職を任せていただき、今日の私に再生していただきました。ありがたく、なんとお礼を申し上げてよいのかわかりません。のちに、松本さんは、神田さんと親友であったとお聞きしました。この世における人間関係の機微を深く噛みしめています。

幻冬舎ルネッサンス新社

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