表現者の肖像 安田健介
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人生を変えた出会い

 書物上の出会いは数えきれませんが、実在の方では、小林為太郎弁護士(上岡龍太郎さんのお父様)と、私の女房の母です。

 小林先生のことは「奔馬」創刊号の「編集後記」にも書いていますので、そこから抜粋してご紹介します。

 「私は小林為太郎弁護士から私的に奨学金を受けていた。どこかの会社からの法律顧問料がそっくり私にまわされたのである。私は自白する。京都弁護士会宛 私は弁護士志望の貧乏学生で、どなたか奨学金を出していただけないかと、手紙を出したのだ。何と突飛で恥知らずの学生だろうと私自身断ずる。弁護士会の掲示板に手紙が貼られたらしい。(中略)小林為太郎弁護士は、その手紙を見て、すぐ私を呼び寄せ、私に奨学金を2年間与えつづけたのである。私はそれを平然を受取り、何一つ報いるところがない。(後略)」

 女房のお母さんには、継続的に言いきれない恩を受け続けました。私が金を使い込んだときにも、女房の嘆きのなかで「若いときの苦労は買ってでもせよと言うから」と女房を説き伏せてもらったり……数限りありません。あれやこれや含めて、私はたしかに「ええ嫁さんもらった」と思います。

幻冬舎ルネッサンス

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