──読者にアピールしたいことはありますか。
七尾:僕の作品は常に読者の方の斜め上を行っている、という自負があるので、そこに驚いてもらいたい。その分、僕自身も、読者の皆さまが思いつかないようなことを書きたいです。
──七尾さんの作品は、コアな部分は完全なミステリーですが、登場人物などの影響もありユーモア小説と呼ばれることが多いですよね。そういったもののない、堅いミステリーをお書きになる予定はあるんですか。
七尾:ユーモアも作風ですから。ただ、その部分を抜かして堅いミステリーを書きたいかと聞かれれば、それはありますね。そういったオファーをいただいているところもあるので、近いうちに着手したいなとは思っています。
──七尾さんはさまざまなジャンルの映画も観ていらっしゃるし、今後、例えばドキュメンタリーや海外ものといった作品を書かれるご予定は。
七尾:作品の幅を広げていきたいと思っているので、出版していただけるのであれば是非挑戦したいです。僕のところに依頼が来るのは、どうしても、ユーモアがあって、斜め上で、キャラが立ってて、というのが多いんです。デビューした作品がそういう作風で、それが売れてくれたので、これはもう仕方がない部分はあります。今は出版不況なので、冒険することが難しい部分はあるでしょうね。でもたまに、最近こういう作品が多いから、また違った視点の作品を出してみたらいかがですか、と言ってくださるところはあるにはあるんです。自分自身の年齢も上がっていくし、読者の年齢も上がっていくので、その方たちに合わせて作品も成長させていきたいです。新規開拓ではないですけれど、デビュー当初から読んでくれている読者の方に合わせた内容の作品も、ヒューマンドラマといったようなものも両方書いてみたいです。
1969年6月3日、静岡県浜松市生まれ。『死亡フラグが立ちました!』で2010年7月にデビュー。近著に『グサッと痛いけど 超やる気が出るドSな言葉』『隠し味は殺意 ランチ刑事の事件簿2』『すずらん通り ベルサイユ書房 リターンズ』『死なせない屋』などがある。