人生を変えた出会い
米国のMBAプログラムへの留学、それこそが私の人生を変えた大きな経験です。
私は社会人になってからずっと、社内政治を毛嫌いしています。座右の銘は「誠実であること」ですが、社内政治はまさにその対極だからです。私が長い間抱いていた疑問は、なぜ本邦文系ビジネスマンは社内政治に明け暮れるのかということでした。
米国でのMBAプログラムの経験によって、その疑問はほぼ解消しました。MBAで学習したのは当時の本邦企業に大変希薄だった概念、たとえば経営理念やビジョンを掲げる意義、競争優位の確立と差別化、経営戦略の重要性、企業価値の算定と最大化、人材評価・育成方法などです。それらはすべて、企業が利益を上げるあるいは企業価値を高めるという目標を達成するために必要な「専門教養」です。この専門教養を身につけ、常にそれを高める努力をしているビジネスマンは、社内政治などに精力を注ぐ必要はありません。
一方、本邦の文系ビジネスマンは「専門教養」を高めようという意欲が希薄です。それこそが社内政治がはびこる主因であり、そういった現状に一石を投じたいと思い立って出版したのが本書です。